小町紅〜紅のお話し〜

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先日、伊東深水の素描展を見に訪れた、表参道の伊勢半本店さんで、小町紅を購入しました。

以前から、時代物の絵を描く為の参考資料としてというだけでなく、見かけの美しさに純粋に欲しいな、と思っていた紅猪口。
来月参加する企画展の絵のモチーフにしたいと思い、購入して来ました。

紅花の花弁にわずか1%しか含まれない赤色色素。
それ故、かつて紅は金と等価交換されたほど高価だったと言われています。

その粒子の細かい良質な紅を猪口に幾重にも重ねると、玉虫色の光沢を放ちます。それを水で溶いて唇に点します。

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水を含ませた紅筆で猪口に塗られた紅を溶かすと、その部分が鮮やかな紅色に。

薄く一筆点せば淡い桜色、重ねれば紅色に、そしてさらに何度も重ねれば玉虫色へと変わって行くという紅。

下唇に紅を濃く塗り玉虫色に染める紅化粧は、笹色紅と呼ばれ、享和の末か文化頃から、遊女たちが始めたと言われ、文化・文政頃に大流行したというのは良く知られたお話し。

とは言え、高価な紅をその様に使えるのは、上流階級か、豪商などの裕福な女性や遊女などに限られるため、庶民には下唇に墨を差してから、少量の紅を差して、笹紅色を再現するという工夫まで流行ったそうです。

江戸の町娘の、お洒落に対する熱い想いが伝わるお話しです。