「夢二書譜」

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私が時代物のイラストレーションを描くきっかけを作って下さった方がお二人いらっしゃいます。

そのうちのお一人が恩師の先生。

その先生が、大切にされていらっしゃる蔵書の内の
一冊を譲って下さいました。

ボロボロなのだけれど、あなたの時代物の絵に役立つと思って、と仰って。

昭和29年発行で、60年も前に作られた本とは思えない、とてもきれいな
状態で、先生が本当に丁寧に大切にご覧になっていたんだな、という事が
伝わって来て、とてもとてもうれしくありがたい気持ちでいっぱいになり
ました。

夢二の全盛期で、挿絵時代の最もよい時代である、大正2年〜5・6年頃の
ものを主として、「絵入歌集」などの数々の代表著作から、
「女」を主題とした白黒ペン画作品などが100点程納められた書譜。

この時代の紙や装丁が夢二の作品とぴったり合っていて、とても貴重な一冊をお譲り頂き、あらためて感謝の気持ちでいっぱいになりました。

先生が仰って下さった様に、少しでも夢二の様な上品な匂いが漂う、息づかいの感じられる様な「女」を描けたら、と想い描きながら、大切に大切にさせて頂きます。