「梅若玄祥のスリーステップで学ぶ能『半蔀』」

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横浜能楽堂主催の講座「梅若玄祥のスリーステップで学ぶ能『半蔀』」へ行って来ました。

朝10時半からの1時間目はフェリス女子大学名誉教授の三田村雅子先生による「源氏物語『夕顔巻』を学ぶ」
「源氏物語」の『夕顔巻』をわかりやすく解説して下さいました。

『夕顔巻』の絵を描いてみたい、と思っていた私にとって、絵巻などからの図版などの資料も配布して頂き、『半蔀』などの、現代の私達に馴染みが浅くわかりにくいものなどを図版と詳しい解説で、視覚的にイメージし、理解出来る様に解説して頂けたのが、とても有難かったです。

いままであやふやでどう描けば?と迷ってしまう様なものや背景が、目の前に彩りを持って現れてくれた様な、たのしい解説。

2時間目の歌人・馬場あき子先生の「能『半蔀』の詞章を読む」では、歌人の先生らしい豊かな感性で、こちらもわかりやすく、そしてユーモアを交えて面白く詞章を解説して下さり、詞章の場面や風景が、いきいきと流れる様に目に浮かぶ様なすてきな解説でした。

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そして3時間目には、この後の本日のメインである、能『半蔀』で、夕顔女を舞われる、観世流シテ方能楽師の梅若玄祥先生による「能『半蔀』を知るー演者の視点からー」

こちらでは、玄祥先生のお弟子さんでもある、観世流シテ方能楽師の川口晃平さんが、アシスタントをお勤めに。

川口さんには能楽妄想ナイトで何度かお話を伺わせて頂いているので、勝手に親しみを感じて、今回のアシスタント振りを拝見させて頂いていましたが、舞台上で装束をたたまれる所作などがとても美しく、流石だなと感じさせられました。

今回、玄祥先生がご使用になられる面は、川口さんのご所有の孫次郎で、以前に川口さんが能楽妄想ナイトでご披露下さったり、『巴』の舞台で、シテ方を勤められた際におつけになられた面との、たのしみな情報も。

その他、装束や中啓、作り物などについて、さまざまなエピソードを交えながらのたのしいお話し。

人間国宝・梅若玄祥先生の親しみやすいお人柄を拝見出来て、とてもうれしい気持ちに。

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2時間弱のお昼休憩後は、いよいよ能『半蔀』の上演。

玄祥先生の謡はとてもまろやかで、夕顔の清らかさが際立つ謡の様で、地謡はまとまりあって一つになって、美しく美しく心と空間に響く様でした。

孫次郎は、川口さんが『巴』でおつけになった時とは全く違う顔の様に見えて、同じ面のはずなのに?!という驚きと、地謡に会わせる様に、面の表情が変わって行く様に見えるすばらしさに感動しました。

慌ただしい日々を過ごしていた夏の終わりに、一瞬、幽玄の別世界へ連れて行って貰えた、とても貴重なひとときでした。