「にっぽん文楽 in 浅草観音」

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浅草の浅草寺境内、本堂裏で開催された「にっぽん文楽 in 浅草観音」へ行ってきました。

5月に、はじめての文楽教室で、太夫の臨場感溢れる語りと太棹三味線の力強い音色に圧倒され、人形遣いの人形が生きて息をしているような様に、すっかり虜になってしまった文楽。

ぜひまた観たい!!と切望していたところ、今回の浅草での文楽公演の開催を知りました。

この公演は劇場の中ではなく、屋外の開放的な空間で、飲みながら、食べながら、間近で文楽を見るというコンセプト。

5月のはじめての文楽へ行ったきっかけにもなった、NHKドラマの「ちかえもん」の時代の人形浄瑠璃鑑賞の雰囲気を味わえるのでは?

いつもは気になった公演には、気軽に一人で行ってしまう私なのですが、そうとなっては、一人での飲み食いも少し寂しいかしら?と、はじめての文楽教室にもご一緒して貰った友人(彼女は文楽鑑賞の達人)を再びお誘いし、ご一緒して貰う事に。

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まずは雷門前の「ふなわかふぇ」で待合せ、秋限定の芋あんみつで小腹を満たし、持ち込み用のこちらも秋限定のかぼちゃのあんこ玉を仕入れ、松屋さんの地下で井泉のカツサンドを入手。

 

浅草寺の観音様にお参りし、会場へ。

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移動自由の組立て式の舞台でありながら、吉野の銘木の檜を使った本格式と聞いていましたが、思った以上に立派な舞台でした。

宮大工さんが材木の切り出しから、細工、組立てまでも手掛けたという舞台。

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檜の香りがすがすがしく、金の飾り細工も繊細で豪華なもの。

開場から開演までの小一時間、それぞれ持ち込んだ食べ物、飲み物で、秋の気持ちいい空の下で開演を待つゆったりとした時間がとってもたのしい!!

友人と持ち寄った食べ物を交換したり、お隣に座られていた団体でいらしていた方に、ワインをお裾分けしていただいたり。

江戸時代の人々も、こんな風に人形浄瑠璃をたのしんでいたのだろうな。
思っていた以上にたのしい体験に舞台への期待も高まります。

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すっかり日が落ち開演時間になると、まずは「五条橋」の上演。

牛若丸、のちの義経と弁慶との出会いを描いた「景事物」なる、音楽性豊かな舞踏の要素が強い作品。

人形のからだ全体を使った激しい動きからか、人形が息をしている!!という感じはあまり感じられなかったのですが、屋外の開放的な空間に、大きな動きの舞踏が映えている様で、こんな会場でのこんな演目もいいな、と素人の感想。

幕間に太夫と三味線の方が、ユーモア交え、初心者にもわかりやすくたのしくプチ解説をして下さった後には、浅草観音に因んだ、関西の壺坂観音を題材にした「壺坂観音霊験記 山の段」。

そこでベテランの人形遣いの吉田和生さんの遣われる女房お里と吉田玉男さんの座頭沢市が登場すると、やはり人形が自ら動いて息をし、生きている様な動きに感動!!

太夫の豊竹靖太夫さんの、崖から身を投げた沢市を見付けたお里の、堪えきれない嘆きと叫びの圧倒的な語りが心に迫りきて、涙が溢れます。

豊澤富助さんの力強く響き渡る三味線も、お里の心の叫びを臨場感たっぷりに訴えてくれます。

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たった三度目の文楽鑑賞ですが、白熱した舞台と、めずらしい飲み食い自由という開放的な屋外公演という魅力的な催しに、文楽の魅力をますます堪能。

終演後に友人と軽く一杯呑みながら、たのしかったひとときを語り合え、大満足な一日を共にしてくれた友人に大感謝の夜になりました。